『かがみの狐城』を読んで。学生時代の繊細な自分を思い起こす作品

冒頭から続きが気になり一気に最後まで読んだ作品。

2018年本屋大賞受賞作で、子供から大人まで年代問わずにおすすめできる本です。

作品の概要

・箸:辻村深月
・文庫版 (上)(下) 
・発売日:2021年3月発売
・発行所:株式会社ポプラ社

こんな人におすすめ

  • 今の生活に行きづらさを感じている人、または感じていた経験がある人
  • ファンタジーが好きな人
  • 学校生活に悩みを抱えていた人
目次

あらすじ

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた”こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような建物。そこにはオオカミの面をつけた少女が待ち受け、こころを含め、似た境遇の7人が集められていた。城に隠された鍵を探すことで願いが叶えられるという。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。本屋大賞受賞作。    

                              辻村深月『かがみの孤城』(上)背表紙 

”こころ”の心理描写の繊細さ

学生の学校に行きたくないという気持ちがリアルに描かれていて、感情移入してしまいます。

春期の複雑な感情と行動が、あまりにリアルに文章で表現されていて、文章でこんな複雑な感情を表現する著者の技術に感銘を受けました。

今、まさに自分が中学生の”こころ”になったような気持ちにさせられます。

私も学生時代いやがらせ行為を受けていた時期があり、毎朝トイレの中で「今日はいじめられませんように」って神様に祈ってから登校する日々がありました。

自分の学生時代を思い起こさせるそんな表現ばかりで、共感の嵐でした。

個性を認め合うこと理解することの難しさ

”こころ”は鏡をくぐり抜けた先の城で、新たな出会いがあります。同じ年代の子供たちです。

その7人を見ていると、私も「そんなふうな子いたな!」と思うような子たちで、現実に会ったことがあるような親近感が湧きました。

それぞれの個性があり、はじめはぎこちなく恐る恐る近づき、次第に仲良くなっていく過程も、リアルに表現されています。

それぞれ家庭環境も性格も異なり、相手を知れば知るほど理解が深まる。

はじめは自分の勝手な思い込みで相手を決めつけてしまうが、会話をし会う回数が増えるごとに、

見方も変化し、相手に心を開けるようになり関係が深まる。

HSPからみる学生生活の苦悩

女子のクラスでの仲良しグループ制度、どの学校でも存在するでしょう。

HSPの私は、グループに入れなかった時は絶望で、ひとりで孤独な思いをすることがわかっているから、必死でグループに入ろうと頑張った学生時代でした。

特に気が合うわけでもないのに、相手に合わせて無理をして笑って過ごした日々もありました。

他人によく思われたいと気を使いすぎる

他人からどう見られるか気にしすぎて自分の意見が言えない。

そんな友達は本当の友達なのでしょうか?

そういった友達は進学して学校が異なれば、自然と離れていきました。

いじめがあっても誰にも相談できない環境。

「親に言うのが恥ずかしい、幻滅される、怖い、いじめられている自分を見せたくない」となかなか打ち明けられないでしょう。

うまくできない自分を責め、他人と比べすぎる自分に疲れるでしょう。

それでも大丈夫。

まずはそんな自分を認め受け入れることから始める

そこから自分の気持ちと向き合い、自分はどうしたいのか選び決断する。

学生時代はなかなか自由がないので、自分の思い通りにできないことが多いけれど、

今いる環境でどこまで自分と向き合えるか挑戦してみてほしいです。

感想まとめ

心の動きが繊細に表現されていて、心に響く作品でした。

学生時代の実際にあった楽しいこと、つらいことを思い起こし、また明日もがんばろうと思えます。

普段の生活では見落としている「出会い」。これはとても貴重なもので、一度手放すと帰ってこない。

この作品は、大切な人と、そして自分とも時間をかけて向き合い、前に進むことを後押ししてくれました。

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この記事を書いた人

基本インドア大好きアラサー
でも外出もないと楽しくない繊細さん
ブログ始めました
まだまだ勉強中

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